体の痛みを通して私はアナタに出会う~『ファイト・クラブ』で金星を感じるとき~

体の痛みを通して私はアナタに出会う~映画ファイトクラブより~1999年アメリカ
監督:デヴィット・フィンチャー
キャスト:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター

 

「今すぐ死ぬとしたら、今までの人生をどう思うんだ?」━━タイラー・ダーデン

 

「飢餓感」・・・・・・というのを感じたことはありませんか?

今は世の中は金星的なもので溢れていて、やたらと手の込んだスィーツ、ブランド品、イケアの家具、エステ、夜景のきれいなバーなど、数え上げたらきりがないくらい、私たちを甘く柔らかく気持ちよくウットリとさせてくれるものはいくらでもあります。

それでも、いくら満たしても満たしても、まるで心という容れものに穴の開いたスプーンで水をいっぱいにしようとしているみたいに、満ちることを知らないのです。

 

この「飢餓感」というもの、もしかしたら私たちがそれぞれの金星を本当に内側から溢れるように感じることがないからかもしれないと、最近は思っているのです。

月なんかも関係しているとは思うのですが、月の大きな満足感は最も大切なものですが、もっと「生」を生きている喜び、横溢感とでもいうものです。

体の中に大きな生命力が満ち満ちて喜んでいる感じです。

幸せ〜……というより、喜びで、悦び。

月とともに、金星はWETな天体です。
それは内側で感じて、つながる性質を意味します。

先日、金星は愛と美と平和だけではなく、古代では性愛と戦いの女神でもあったという話をしました。

戦いにおける金星とはどんなものだろう?と深く掘り下げていきたいのが今回のお話です。

たとえば、金星と反対の性質を持つ火星は、こちらはわかりやすく戦いの星ですよね。
分離のエネルギーであり、自己を打ち出す行動力、攻撃力、そして湧き上がるアドレナリン。

と、同時に、戦いにエクスタシーを感じるならば、それは一撃を加えたときの動物的な快楽、皮膚の、肉の感触を通して感じる他者、全身にかけめぐるアドレナリン、その他の五感すべてで感じるものが内側から自分のすべてを満たしていく、その戦いのエクスタシー、生の、性の興奮。

これは金星的なものじゃないかと思うのです。

火星と金星は正反対の分、相補的です。どちらかが死ねば両方死ぬといったものです。火星の影に金星あり、金星の影に火星あり。

 

戦い、暴力=悪と決めつけてしまうと、「暴力?!サイテー!」「戦争は男がやりたがったんでしょ!」ということになりかねないのですが、動物的な衝動は女性も持っていますし、私だって暴力や戦争は嫌ですが、もし本当に平和を望むなら、暴力の本質というものを知ってみてもよいのではと思います。

美の女神、私たちに生きる楽しみを与えてくれる一番人気の星・金星は、もともとは戦いの女神ですから、男性は何か言われたら「女だって戦争していましよ」と言って大丈夫・・・・・・では、ないか。女性は強いので、面倒くさいことになりたくなければ黙っている方が賢いかもしれません(笑)

 

その昔、占星術の起源であるメソポタミア文明において、神話の金星=イシュタルは広く崇拝された女神でした。

戦い、豊穣、王権、性愛、愛欲など多くの神性を宿し、神として非常に序列が高かったのです。ギリシャ神話のアフロディーテもイシュタルをモデルにした女神ですが、現在のように愛と美の側面ばかり強調されていたわけではなく、本気を出せばオリンポスの最高神ゼウスさえも抗えないほどの強大な力を持っていたのです。

 

女神イシュタル「バーニーの浮彫」

 

たしかにイシュタルは豊穣の女神で、愛の女神でした。

そして同時に戦いの女神でもあり、「戦闘と戦役の女君」という添名を持ち、その戦いぶりは凄まじく、イシュタルに勝る戦士はいなかったと伝えられています。

美しい戦女神でもありますが、野心家で残忍、愛情が冷めれば動物でも人でも、その扱いの残酷さにおいて群を抜いていました。

自分の信者には慈悲深く愛をもって接し、気に入らないものには残酷極まりない。相反する神性を併せ持った、魅力的な肢体の美しい女神・・・・・・

 

私は、そもそも約束は律儀に守る悪魔と違って、神とか天使って相当に気分屋だと思うのですが、このイシュタルという美しい女神が、戦の炎の中で純粋に戦いを楽しみながら艶やかに笑っているような姿が思い浮かびます。

これといって、本人は悪意はないかもしれなし、罪悪感なんてまったくないのです。ある意味、豊な悪。その悪行に意味はない。気に入らなかったからというだけ、戦いが好きだから、というだけ。理由のある悪って、小者ですからね。それじゃ神ではありませんよね。

 

そして、以前、天秤座の中にはファイティング・スピリットが異様に高い人がいるという話もしましたが、天秤座って「触覚」を意味するのです。

つまりこと戦いに関して言ってみれば、相手に一撃を加える、自分が殴られる、その痛み、傷つけ、傷つけられ、そうしてその皮膚を通した肉を打つ感触と、そこから伝わる痛みによって、「わたし」と「あなた」を感じる。知ることができる。

これは随分と曲解かもしれなけれど・・・・・・

もしかしたら天秤座の金星はこういったことで満たされる、というのもあるのかもしれない。

 

この現代の、何でもあるけど何にもなくて、自分が欲しがる前からたっぷり与えられるから、欲求を心から感じる前に両手なんて飽和状態で、昔、糸井重里さんが「欲しいものが欲しいの」というキャッチコピーを作ったそうですが、本当にうまいと思います。

何が欲しいのか、わからない。

何が本当に自分を満たすのか、わからない。

そこで物質主義を捨ててスピリチュアルや宗教にハマれれば、とりあえずの解決を見せるのかもしれませんが、宗教を持たない、そういったものにハマらない人はどうしたらいいのでしょう?

 

 

 

ファイトクラブ

 

「職業がなんだ?財産なんて関係ない。車も関係ない。財布の中身もクソッタレなブランドも関係ない。お前らは歌って踊るだけのこの世のクズだ」

「我々は消費者だ、ライフスタイルの奴隷だ!殺人、犯罪、貧困、何の興味も持たない、興味があるのは芸能雑誌やTV、下着のデザイナーの名前、毛生え薬、インポ薬、ダイエット食品、ガーデニング、何がガーデニングだ!タイタニックと一緒に沈んじまえばいいんだ!」

━━タイラー・ダーデン

 

主人公の「ぼく」はそこそこのエリートで、安全な環境で一生デスクワークをし続けそうな仕事で、収入はいいから楽しみはIKEAの家具を買うこと。

だけど「ぼく」は煮詰まっていました。「ぼく」は、だって完成しすぎているのだもの。

親に言われた大学に進み、「ぼく」が決めなくても勝手に進んでいく人生コースに乗り、すべてのことは世界があらかた決めてくる。

そんな人生。

だから煮詰まって、だから「ぼく」は完璧で完全な人生から脱出したいと思っていました。

 

「ぼく」がある日出会ったタイラーという男。

家の事故で住めなくなった「ぼく」はタイラーの家に泊まらせてもらう代わりに、彼のお願い事をきくことになる。

それは思いっきりタイラーを殴ること!

「ぼく」は殴った。お返しにタイラーも腹を殴り返してきた。強烈なパンチに「ぼく」は呻いたが、不思議とすがすがしい気分だった・・・・・・

 

 あぁ、、

「ぼく」の内側で金星が喜んでいる感じがします。

 

ファイト・クラブ

 

性行為というのは、ある意味、自己破壊と言ってもよいものです。

破壊という言葉がネガティブなイメージですが、愛し合って二人で融け合う場合でも、どんなに愛情をこめて服を脱がす場合でも、相手の非日常を暴いていくということです。

 

古代の金星が、美と愛、そして性愛と戦いの神格を併せ持っていたことは、私には不思議なことに思えないです。

 

肉体がぶつかり合うこと、それによって他者を知ること、
五感のすべてを鋭敏に興奮させること・・・・・・

 

もちろん、激しいものだけを求めていたのでは私たちは生き続けられません。
死ぬか、社会的に認められない存在になってしまうかという可能性が出てきてしまいます。

 

そうなりたいわけではない、けれど、この神経質な痛みばかりため込んで、頭の中ばかり肥大させて、世界も他者も頭の中にいるだけで、ストレスフルにいきなり爆発する、または未来を不安に思ってなんの冒険もせず安心と安全だけを第一にして生きる、そんな傾向すら見られる現代で、なんだか長持ちしそうな「愛」ばかり歌う現代で、

その瞬間の生の爆発!

今この瞬間にすべてを賭ける自分!

表向きの仮面をぶち壊して、自分そのものになる!

 

その瞬間だけに横溢する生の、眩暈がしそうなほどのエネルギー

どうしようもなく感じる「生きている」ということ・・・・・・

 

それに惹かれてやまない自分が、確かにいます。

 

占星術でみるとしたら、やっぱり火星と月、海王星や冥王星も関わってくると思うのですが……冥王星は自己を破壊して再生するというものですし、海王星ならスリル中毒とかもありえます。

ですが、金星も関係あるのではないか?というお話でした。

 

長くなりましたので、また次の機会に他の切り口で書いてみたいと思います。

 

いきなり暴力的な話になってしまいましたが、読みに来てくださり、どうもありがとうございます!

 

アドセンス

<script async src=”//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js”></script>
<script>
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({
google_ad_client: “ca-pub-6530303901137473”,
enable_page_level_ads: true
});
</script>

2017-04-18 | Posted in 占星術, 本・音楽・映画No Comments » 

関連記事

Comment





Comment



CAPTCHA