Gate of Hades第8ハウス~求めたのは魂の重さと君の言葉~

伊藤計劃『屍者の帝国』よりハダリー
伊藤計劃『屍者の帝国』より
機械人間ハダリー

 

 

━━求めたのは、21グラムの魂と君の言葉
伊藤計劃『屍者の帝国』より

 

導きだ。全員が絶望を感じなくなるのは至福のひとつの実現だ。そこにはもう、争いも、憎しみも、殺し合いもない。争いを知る機能もなくなるからだ。

 

「Mは人々から意思を奪おうとしている」

「そんな世界、私は望まない。プログラムじゃなく魂の喜びを知りたい。悲しみや苦しみがあるからこそ喜びを感じるのでしょう?」

 

 

なんだかだんだんと映画のサイトのようになってきていますが、自分の思うことややっていることを正直バカみたいに書いてみようという試みでもあるので、気が向かれた方はお付き合いくださるととても嬉しいです。

さて、上のセリフは伊藤計劃の『屍者の帝国』からの引用ですが、太字の部分はTOP画像のハダリーという女性のセリフ。この世界では屍者に霊素を注入し、人間の労働力として扱っていて、さらにそれが軍事利用されていたりと物語の舞台はそうなのですが、主人公のワトソンは、人は死ぬと21グラム軽くなることから、それが魂の重さなのでは、と。「魂のありかた」を問うお話です。

そんな中でハダリーという女性は機械人間なんですね。彼女は悲しい、嬉しい、懐かしい・・・・・・そういった感情を理解することができません。彼女が知りたいのは、望んでいるのは魂。それは悲しみや苦しみを感じること、痛みを感じること、誰かを愛おしく思うこと。

 

『屍者の帝国』ハダリー

魂を理解することができず悲しむハダリーを見て
主人公は君のそれが魂だよ、と言う

 

先日の記事でも書きましたが、悩みや苦しみをやたらと解消したがるムードや明るくポジティブであることをすすめられることに私はどこか疑問を感じます。そこから星を悪いようには読まなくなったり、マレフィックなハウスを忌み嫌うような傾向が生まれたのではないでしょうか?

そんなマレフィックハウスのひとつ、第8ハウスについて簡単にまとめてみます。

 

第8ハウス
Epicataphora(下降する場所)、the House of Death(死のハウス)

パートナーの財産、他者の財産、共有の財産、遺産、遺言、年金、保険、借金、損失、死。古典的な文献では死とその原因、死への恐れを示す不運なハウスと記されている。さまざまな危険、毒、腐敗、隠された事柄、精神的な苦悩。現代の心理学的な占星術では、トランスフォーメーション(意識の変容)のハウスであると解釈されている。

 

第8ハウスは第1ハウスから見てパートナーを意味する第7ハウスの2番めのハウスなので、他者の財産となります。

今の私たちは病や死を怖いもの、嫌なものとして見ようとしません。人間は美しいものや快楽を与えてくれるものしか見なくなりがちなのですね。病気や死は確実にあり、自分もそこからは逃れられないのに、直視しようとしない。

死に対する恐れ、死に付随する感情も第8ハウスが示し、ここに天体がある人は幼いころに死に対する恐怖をかなりもっていたなど、月があるととくに、死を意識している場合が多いようです。

現代ではどこか読みにくハウスのひとつでもありますが、こんなにわかりやすいハウスもなく、the House of Death、死のハウス、そのままです。

ただ人間中心主義を唱えたディーン・ルディアが「悪いハウスはありません」と言ったように、いわゆる単純に使われがちなネガティブというものではなくて、それは金星だって行き過ぎたらマレフィックになるのですから、実はこの死のハウスが人間のすごい生へのエネルギーへとつながる可能性があります。

死を代表として、様々な怖れを正面から見据えることで、マレフィックも人間を動かす動機になります。むしろ第8ハウスはとても強い人間の原動力になる、そんなハウスです。

 

 

ところで、第8ハウスが魂を意味するとは限定はできませんが、今ではよく耳にするようになった魂という言葉。

 伊藤計劃『屍者の帝国』

 

 

だけど、魂というものについて、本や誰かの言葉ではなく、自分でどれくらい考えたことがあるでしょうか?

魂ってなんだろう?!

 

『屍者の帝国』では、魂があるから思考があり、思考があるから言葉がある。思考は言葉に先行する。なので、言葉があるなら思考はあるし、思考があるから魂もある・・・・・・という捉え方をしている箇所がありました。

 

私たちの魂、21グラムのそれ、なのかな・・・・・・?

 

 

「私は発達などしない。私は私だ」(パブロ・ピカソ)

魂は、現代の「天使」「パラダイム」「イメージ」「運命」「内なる双子」「ドングリ」「人生の伴侶」「守護者」「心からの召命(コーリング)」などとも言い換えられます。

ジャイムズ・ヒルマンの『魂のコード』、いまだすべて読んでいないのですが、そこには、巨大な樫の樹がすでにたった一粒のドングリに内包されているように、あなたの中には生まれながらの〔魂〕が存在するというヒルマンの主張がありました。

本当は、私たちの中に運命の声が書き込まれた一粒のドングリがあり、人は本当の伝記を、つまりドングリの中に書き込まれた運命を奪われてしまったのだと、彼は言います。

 

それにしても、このドングリに書き込まれた運命の声、つまり魂のコードを聴くことや、他にも自己実現を目標とした精神療法や各種ヒーリング・セラピーなど、たくさんあって・・・・・・本当の自分自身を発現するためのメソッドが現代ではたくさん増えたのですね。

 

占星術も「自分を知りたい」という気持ちで体験してみる方が多いように思います。

 

第8ハウスの話から魂の重さまで話が流れてしまいましたが、読みに来てくださり、どうもありがとうございます!

 

 

最後に、私は『屍者の帝国』の原作のラストがとても好きです。

このお話はもともと主人公のワトソンと、彼が霊素を注入し共に旅をしたフライデーという友人の物語でした。

 

ほんの三年に満たない旅に過ぎなかったが、かけがえのない、得がたい日々をあなたと過ごした。

その旅が僕をこうして形作った。あなたの物語をつなぐ手伝いを上手くできたか甚だ心許ないが、収支はまだ先のこととしてもらえればありがたい。

せめてただほんの一言を、あなたに聞いてもらいたい。

「ありがとう」

 

もしこの言葉が届くのならば、時間は動き始めるだろう。

叶うのならば、この言葉が物質化して、あなたの残した物語に新たな生命をもたらしますよう。
ありがとう。

今、わたしは目を開く。万物の渦巻くロンドンの雑踏へと、足を踏み出す。

 

 

ありがとう。

 

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2017-04-26 | Posted in 占星術, 本・音楽・映画No Comments » 

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