第6、8、12ハウス~三大マレフィックハウスは生きる力を与えてくれるのだ!~
ヌードアーカイブス『NAGURU』
古典では三大マレフィックハウスと呼ばれていた第6、8、12ハウスについてなのですが、現代では悪いことは言わないというような風潮なせいか、ずいぶん解釈が歪められてしまった部分もあり、だからこそ読みにくいハウスにもなってしまったようです。
改めてこの三大ハウスについて書いてみようと思います。
そもそも古典ではハウスを徹底的に理解することが占星術家の条件のひとつでした。ハウスを理解しないで星を読むことは、家の間取りがわからないのに家を買っちゃうようなものでした。
そのハウスは、
①特定の具体的な問題を表示する
②惑星のコンディションに影響を与える
という二つの重要な機能があります。
さて、そのハウスの中で第6、8、12ハウスは三大マレフィックハウスと呼ばれます。
MaleficのMalはラテン語で「悪い」という意味で、Malo Aireと言ったら「悪い空気」というスペイン語です。これはマラリアの語源ですね。
占星術ではこのMaleficと、その反対のBeneficを非常に重要視します。木星はグレート・ベネフィック、金星はレッサー・ベネフィック、土星はグレート・マレフィック、火星はレッサー・マレフィック。
ただ、この「良い」「悪い」というのはとても深い、哲学的なとらえ方で使われていたので、現代の私たちがすぐに口にするポジティブ・ネガティブとは様相が異なります。そもそも火星と土星がなければ金星も木星も成り立ちません。
単純に良い、悪いで判断し、また社会から病気や死が遠ざけられればられるほど、この三つのハウスは忌み嫌わるののではないでしょうか。どうやら20世紀になって、この三つのハウスはずいぶんとヘンテコリンな解釈になって意味がズレてしまったのだと、先日学ぶことができました。
(教えてくださったのは占星術家の芳垣宗久先生です)
もともと、どのようなハウスであったか簡単に見ていきましょう!
第一回目は第6ハウスについて。
第6ハウス
Mala Fortuna(不運)、The House of Sickness(病のハウス)
ここでは病気、家事、雑務、ハードワーク、部下、家畜、ペットなど。古典的な文献では病気とその原因、重症度などを表し、医療に関するすべての専門職を表すとされる。
できれば人にまかせたい仕事が第6ハウスの意味するとことなのですね。本来その人がやるべき重要な仕事は第10ハウスで見ます。
苦しいこと、嫌々やらざるを得ないこと。そして面倒くさいことをやらせられるのは部下であり、また召使い、メイドや使用人もこのハウスが意味していました。家畜やペットというのは人間が乗っかれないくらいの動物です。馬や牛は第12ハウスで見ます。
今は動物はコンパニオン・アニマルとも言い、家族のように大切にされていることも多いのですが、ヨーロッパの昔の価値観では動物は下位のものとされていました。
そして医者も非常に身分の低い人がなる場合が多く、それは病人を扱う仕事だったからです。中には高い身分の方もいたと思いますが、現代のように高給取りの仕事で「先生!」と呼ばれるようなポジションではありませんでした。
感情のクォリティ、とくに悲しみ、苦しみ、虚弱さも表します。
古典では第1ハウスから見てメジャーなアスペクトをとらないハウスをマレフィックとしました。とくに第6と12ハウスはケーデントハウスですが、ケーデントとは「隠されている、隠れている、日陰になっている」という意味があり、視野に入らないところのことなんですね。第3と9ハウスもケーデントなのですが、3は身近なところだし9は宗教なので入らないのかもしれません。
このように書くと、第6ハウスに天体が入っていたら人生が大変なのかとか病気にみまわれがちになるのかと思われて、それで嫌だと感じる方が多いのだと思うのですが、別にマレフィックハウスに天体がなくても人生は大変なのです。
すべてのマレフィックハウスに共通して言えるのですが、その大変な経験を通して、素晴らしい、クリエイティブなことができる、他の人の力となることができる、そういった生きる力に変える可能性がとても大きいハウスなのです。
どうにも現代はネガティブなことを考えるとネガティブなことを引き寄せるからやめよう、ネガティブな要素のあるものや人には近づかないようにしよう・・・・・・そのような傾向があるのだと思いますが、世界に光を与えた人たちはとても苦しみ、悩み、大きな困難にあい、その悲しみにの中から人を救う行動や創作、言葉を生み出したのではないでしょうか?
もし、本当に戦争など国家レベルのことから身近な暴力まで、そういったものをなくしたいと心から願うのならば、暴力というものの本質を知るということが必要です。「戦争反対」と言っていれば、誰も非難しません。ですがそれくらいの非力な力では、深く苦しんでいる誰かを救うことはできないように思います。
第6ハウスに月がある有名人にアーノルド・シュワルツネッガーがいます。
彼は史上もっとも筋肉質な男としてギネスブックにも載っているくらいですが(そんなギネスあるんですね)、子どもの頃はヒョロヒョロの虚弱体質で、サッカーチームに入れてもらおうとしても、あまりに軟弱なので断られるくらいでした。
しかも山羊座の月です。Ascが蟹座なので、このコンディションの悪い月が精神と肉体を支配しています。虚弱で精神的にも弱く、病や苦労を抱える配置です。占いではとてもボディビルのチャンピョンになれそうな感じはしませんよね。
ですが彼は、虚弱ゆえに強くなりました。病気ゆえに人一倍健康に気を使い、淀川長治さんに「一緒にお風呂に入りましょう」と言われるほどになったのです!・・・・・・って、これは少し笑い話ですね。淀川さんはムキムキの男性俳優が好きで、気に入った人には一緒にお風呂に入ろうって言うのです(笑)。
古典の教科書にマレフィックと書いてあるのは嘘ではありません。
ですが、イコール人生でもありません。
マレフィックには人を鍛える要素があります。
あとは本人の自由意志です。つまり、いかに生きるか、ということですね。
ということで次回は第8ハウスのお話です。
読みに来て下さり、どもうありがとうございました!

イツカ

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